原型をつくるために・・・
universal method
わたくしたち造形業に携わるものが
依頼されたものを製作する場合
一般的には、 デザイン画をもとに原型をつくり、
雌型をとり、樹脂等で成型して塗装するという
段取りがもっとも一般的だと思われます。
製作するものにより、判断は違うのですが、
おおむね原型は粘土による
精密で細部までつくりこまれたものか、
発泡材による原型がほとんどだと思います。
粘土は 細部まで作りこむことが可能です
そして利点として、粘土で製作した場合、
原型チェックなどにおいてその場でも変更が
容易であるという 利点もあります。
ただあまり大きな原型には向かないでしょう。
向かないということは
できなくはないということであって
不可能ではないということです。
粘土で原型を作る場合 ある程度の大きさになると 粘土の塊でつくるわけにもいかないので下準備等がなかなか手間のかかるものです。
そして製作にそれなりの時間もかかります。
仕事として製作する場合 納期等の制約もあるので現実的ではないということです。
ゴミに囲まれながら・・
on the other hand
一方 スチロールやスタイロフォーム等の
発泡材による造形は 大きなものを作るのに
向いているかと思われます。
ただし、細かいディテールとか、
テクスチャーの表現とかは
粘土のようにはいきません。 しかしながら
大きなものでもスピーディーに製作することが
できます。
そして、TVや映画など映像関連の造形物は
型取り成型とかせずにそのまま
表面処理をして 完成品とすることができます。
もちろん 型取前提の原型にもなります。
難点は やはり ゴミでしょう。 製作に大量のゴミがでるうえに、 原型そのものも
型を取ったのちには ゴミになる運命です。
ゴミまたゴミです。
専門の業者さんが引き取ってくれるとはいえ、
一時的に作業場は ゴミと製作物が
ひしめき合うことになり、結構たいへんなことに
なります。
.
from now on
粘土にしても発泡材にしても一長一短です。
なにか他に選択肢はないかと・・・・
ありました。
デジタルデータの活用です。
いまではどの業界でもCADCAMの導入は
あたりまえのようになってきています。
造形関連では、模型製作等では使われてきました。
しかしながら有機的な形状を自在に
製作するのに最適なソフトが
ありませんでした。
ですが、技術の進歩は著しく
3Dソフトなんて触ったこともないひとが
容易に有機的なオブジェクトを
粘土のようにモデリングすることが可能な
ソフト環境が 近年充実してきました。
デジタルデータの利点として
まず ゴミは一切でない、したがって汚れることがない。
スケールをかけることが自在なので大きさの制約がない。
全く同じデータで 巨大なものから
手のひらにのってしまう小さなものまで
データーを共有できる。
型を取っておく必要もなくデータがある限り同じものをいくらでも複製できる。
PCの性能しだいで拡大して密度の高い高解像度の詳細なディテールを
製作することが可能である。
変更改造がおもいのままである。 たとえば既存のデータをもとに
別のものに頭をすげかえるとか、
一部分だけ長くしたり短くしたり
太らせたり痩せさせたりとが簡単にできる。
などなど利点はたくさんあるのです。
それでも・・
手作業でつくられたものはPC上でモデリングして出力したものより
味わい深いものです。
長年じっさいに物を作ってきた経験は ソフト上のバーチャルな物つくりにも
生かされると思います。
ボクセルモデリングって何?
通常3DCG等で扱うモデルは表面だけの情報しかない張子のようなものですが、
ボクセルは体積を持った粒子の集まりなので、 内部も詰まったデータになります。
したがって粘土のように 盛ったり 削ったり、穴をあけたりと かなり自由なモデリング
が可能なのです。 反面 緻密なモデリングをするために 粒子の密度をあげなければ
ならないので、高性能なハードを必要とします。ハードの性能は 日々進歩しているので
今後 ボクセルモデリングは普及していくと思われます。
あまり難しいことを覚えることもないので、いままで粘土等の造形経験のある人には
とてもおもしろいとおもいます。
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